キリストはなぜ人となってこの世に来られた
のでしょうか。神がひとり子を遣わされたその
思いを教えてくれているクリスマスの話があり
ます。(以下その要約です)
長いこと教会に行かないでいる一人の老農夫
がいた。あるクリスマス・イブのこと
「今夜はクリスマスイブだって?神の子がこの世に
お生まれになった? なにをばかばかしい。そ
んなことがあるものか」
彼が雪の降るクリスマス・イブに一人
家にいると、突然窓ガラスに何かが次々とぶつ
かってきた。それは夜闇の中をこの家をめざし
てくるたくさんの小鳥であった。
彼らは明かりを求めて、ガラス窓に次々と打
ち当たってはむなしく軒下に落ちていくのであ
った。
それを見た農夫は「小鳥たちを助けてやらね
ば」と思い、雪の中を一目散に納屋へ走ってい
って扉を開け放った。そして電灯を明々と灯し
て小鳥たちをそこに呼びいれようとして叫んだ。
「こっちだ、こっちだ、こっちへ来い!」
しかし小鳥たちは、彼の必死な叫び声に応え
ず、なおもガラス窓に突き当たっては死んでい
った。
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農夫は思った。「ああ、わたしが小鳥になっ
て、かれらの言葉で話しかけて導いてやること
ができたなら!」
その瞬間、老農夫はとつぜん悟った。
「神が人々を救うために人になられてこの世
に来られた」という意味を。「地獄に落ちよ
うとする罪びとを導いて救おうとする心」を。
彼は強い感動に包まれて、思わずその場に
ひざまづいて神に祈りをささげていた。
白浜満神父「わかりやすいミサと聖体の本」
原作ルイス・カッセルズ:佐久間彪神父訳詩
「あるクリスマスの出来事」
出版:女子パウロ会
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