伊那教会の祭壇  [PDF]

 伊那教会の写真をご覧になると、祭壇が2つあ
るのがお分かりと思います。いくつかの教会を見
ても1つの聖堂の中に2つの祭壇が置いてあると
ころは他にありません。

 昔、といっても40年くらい前、カトリック教会
のミサは大きく変わりました。日本語でミサがあ
げられるようになりわかり易くなったのです。
(1962〜65 第2バチカン公会議)
 それまではラテン語でミサが行われ信者はチン
プンカンプン。侍者もラテン語で唱える部分があ
りそれを覚えて唱えていたのですから大変でした。
今では初めての方でもカトリックのミサに参加す
ると「よくわかるね」とおっしゃいます。

 もう一つの変革として「ミサの中で神は私たち
の中心におられる」という考え方になりました。

かつては、聖堂の奥のキリストに向かって祈り、
信者は司祭の背中をずっと見ていたのです。
 それが司祭は信者の方を向いてミサを執り行う
ようになりました。これは対面式というよりも神
が中心におられ、私たちがそれを取り囲んでミサ
が行われるという形なのです。

 多くの教会は祭壇を動かして向きを変えこのこ
とに対応できたのですが、伊那教会は建物の構造
上、祭壇を大きくは動かせませんでした。

 武田神父さまが伊那の主任司祭になられると旧
来の祭壇はそのままにして新しい祭壇を下に設置
されました。これが現在の祭壇です。
 それ以来、信者にとって「キリストは全員の中
心におられる」という言葉がより実感として感じ
られるようになりました。

     余談ですが、伊那教会にはかつて三つの祭壇があ
    ったと言ったら信じられるでしょうか。
      何年か前のことですが、武田神父さまが下半身を
    傷められたことがありました。そのときに現在の祭壇
    前の位置に、椅子に座ってミサをあげられるように低
    い祭壇を作りました。それが後にも先にも、一度だけ
    作られた三つめの祭壇なのです。