マリア地蔵  

 長野県の木曽の奈良井宿にマリア地蔵と呼ば
れる像があります。

 伊那市から(R141 権兵衛峠のトンネル)を通って、
木曽路(R18)に入り、右折して約10キロ行くと奈良
井宿です。そこに大宝寺(だいほうじ)があり、
墓地の一角にマリア地蔵があります。
(伊那から車で45分)。

 このマリア像は寺の近くに埋まっていたのを
昭和7年(1932)に発見され、ここに移されまし
た。
 しかし受難の像です。首が切られ、マリアの
右手も一部つぶされ、膝に抱えた嬰児は頭を半
分落とされました。台座も壊されています。
 土中に何百年も埋められた後に掘り出され、
たのですが、それから50年以上この場所で雨ざ
らしにされた後に、やっと奇特な方が祠を建て
られたのだと思われます。
  
木曽 奈良井宿 大宝寺 マリア地蔵 (画像クリックで拡大表示)
 

 おそらくキリシタン弾圧の前には、マリア像
は集会の場に置かれ花が飾られ、ミサがあげら
れて、マリア像は信者たちをやさしく見守って
おられたのでしょう。そんな姿が見えてきます。

 それがキリシタン弾圧で信者はちりぢりにな
り、像はハンマーのようなもので無造作に何度
も打ち砕かれたのです。

 この像に嬰児が蓮(はす)の花を持つ姿が刻ま
れていますが、それが母マリアの首飾りの十字
架のようにも見え、涙をさそいます。



参考:
 「信州の民話伝説集成 中信偏・マリア地蔵尊」
 インターネット Google 「大宝寺(長野県塩尻市)」
  写真撮影 2017年10月