聖書に神殿を建設する話が出てきます。
ダビデの息子のソロモンが建築した神殿の話は
有名で栄華を極めた話とされています。
これが『第一神殿』です。(紀元前10世紀)
ユダヤ民族がバビロンに連れ去れていかれた
バビロン捕囚、それから、何十年もして、イス
ラエルの地に戻ってきた彼らが再建したのが
『第二神殿』ですが、規模はかなり小さかった
ようです。
イエスの頃『第三神殿』が建設されます。
ユダヤ人への懐柔をはかりヘロデが同じ場所に
壮大な神殿を建設します。
紀元前20年着工し、完成までに84年を費やし、
その規模は、縦480m、横300mというものです。
ソロモンの神殿が豪華を極めたようなイメー
ジがありますが、『ヘロデ神殿』と呼ばれるこ
の建造物の大きさには及びません。
さてイエスは、この第三神殿(建築中)を訪ね
ています。その場面が聖書に書かれています。
(1) 少年時代のイエスが神殿で長老たちと話を
する場面 (ルカ:2-41)
(2) イエスが 神殿を商いの場にしている商人
たちを追い出す話 (ヨハネ:2-13)
(3) そして弟子たちがイエスに神殿の建物が立
派ですのでご覧くださいと言う場面(ルカ:21-5)
です。
イエスは(3)の言葉に対して
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「よく言っておく。神殿の石はすべてくずさ
れ、もとの石の上に残る石はないであろう」
と答えています。エルサレムが滅ぼされて神
殿はなくなってしまうだろう、というイエス
の予言の言葉なのです。
神殿は着工から84年後の、西暦64年に完成
します。工事完成は約1万5千人の失業者を
生み、完成からわずか2年後の66年にユダヤ
人はローマに対して反乱を起こします。そし
て70年にエルサレムはローマにより滅ぼされ
ます。
100万余のユダヤ人が神殿とともに滅び20万
人が奴隷として連れ去られます。そしてロー
マ軍は神殿を破壊しつくします。
エルサレムの石の上には、ついに何一つ残
らなかったのです。
イエスの言葉は、こうして恐ろしい結果で
実現するのです。それも神殿の完成後、すぐ
に起きる事件なのです。
ただし、現在でも残っている神殿の跡があ
ります。それが「嘆きの壁」と呼ばれる巨石
の建造物です。テレビでご覧になったことが
あると思います。
<参考>
黄字:村松剛「教養としてのキリスト教」P194 講談社
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