聖書には不明確なまま読んでしまいがちな場面
があります。そのひとつが食事の状況です。
イエスは徴税人たちといっしょに食事をされて
います。そのときに最後の晩餐の絵にみられるよ
うにテーブルで食事をする場面が絵画には出てき
ます。
しかし実際はそうではなかったようです。砂漠
を遊牧する民が食事のためのテーブルを持ち運ん
でいないことは明らかです。定住してからもその
生活習慣は同じであったはずです。足を横に出し
て、早くいえば寝そべって食事したようです。
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次の一節は食事時の描写です。
「(イエスが皆といっしょに食事をしているとき)
罪の女が香油のつぼを持って来て、泣きながら
イエスのうしろでその足元に寄り、まず涙でイエ
スの足をぬらし、自分の髪の毛でぬぐい、そしてそ
の足に接吻して、香油を塗った」(ルカ 7・37-39)
腰かけて食事する風景を考えていると、彼女が
テーブルの下にもぐりこんでイエスの足を洗った
と誤解してしまいます。食事の場面はいくつか出
てきます。きちんと理解しておきましょう。
そうは言っても、寝そべって食事をすることに
は私たちには違和感があります。これは仕方あり
ません。
マンフレート・バルテル「聖書をこう読む(下)」
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