いちじく    [PDF]

 いちじくは「無花果」と書くとおり外面から
花が見えませんが、花嚢(かのう)の中で花をつ
けます。イチジクコバチという小さな蜂がその
中にもくりこんで卵を生み付け、このとき受粉
が行われます。 
参照:「植物の心」 塚本裕一 岩波新書

 さて聖書にはいちじくが豊かさを表すものと
して頻繁に登場し、またたとえ話の中にも登場
します。「豊かさ」が「信仰」の象徴となって
います。そのことを知って聖書を読むと理解が
深まります。
 
イエスは次のようなたとえを話されています。
(1)「ある人がぶどう園にいちじくの木を植え
ておき、実を探しに来たが見つからなかった。
そこで、園丁に言った。『もう三年もの間、こ
のいちじくの木に実を探しに来ているのに、見
つけたためしがない。だから切り倒せ。なぜ、
土地をふさがせておくのか。』」(ルカ13:6-7)

(2) イエスは道端にいちじくの木があるのを見
て、近寄られたが、葉のほかは何もなかった。
そこで、「今から後いつまでも、お前には実が
  

ならないように」と言われると、いちじくの木
はたちまち枯れてしまった。(マタイ 21:19)

 実はこの二つの話は「イスラエルの信仰の象
徴であるいちじく木に、ひとつの実もなってい
ない。イスラエルは信仰を失っている」という
意味です。

 マルコの福音書はこの部分に「いちじくの季
節ではなかったからである」(マルコ11:13)と付
け加えていますが、これでは話の意味がわから
なくなってしまいます。イエスの怒りを理解し
ていない言葉です。