イエスの生誕を知ってはるばる東の国から三人の博士がやってきました。 「ベツレヘムの星」と呼ばれる不思議な星に導かれてやって来たということです。 彼らがイエスに会ったあと、天使が彼らに「ヘロデのところに帰らずに帰るように」と伝えます。博士たちはヘロデに救い主誕生の報告をせずに、急いで国に帰りました。 それから約1100年の後、 ある彫刻家がその夜のことを彫刻にしました。それが残されています。フランスのオータンにあるサン・ラザール大聖堂の『眠るマギへのお告げ』 という彫刻です。『マギ』とは博士のことです。それが今から約1000年前のことです。 彫刻では、眠っている三博士のうち、ひとりだけが掛け布団の上に右腕を出して、大きな目を開いています。彼の眼をさまさせた天使は、出している右の手の先、それを遠慮がちに、というよりも、ちょっといたずらっ気を出してうれしそうにつっ突いています。 |
イエスの降誕を祝う三博士そして天使の姿があり、そんな彫刻を見ながらクリスマスを一千年もの間祝ってきたこの教会の人々がいて、たのしい夜です。 大聖堂柱頭彫刻・「マギの夢」/柱頭展示室 1120-30年頃 http://hp1.cyberstation.ne.jp/legend-ej/p-2005fraautu.html 参考:日本の名随筆 16 藤井旭編 星座(作品社)串田孫一『ベツレヘムの星』 |